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景虎日記

無駄な考え、無駄なあがき、無駄な偏愛と偏見による電子書籍とWeb小説、その他もろもろの記述。

「Githubで小説? そんな時代なの?」そうなのだ。

執筆・創作

 どうも。俺だ。景虎だ。

 キミはGithubを知っているだろうか?

 恐らく圧倒的情報強者であるキミのことだから「そんなこと当たり前だろうが聞くなやハゲ」と思っていることだろう。俺はハゲてはいないがキミの気持ちはよくよく理解しているつもりである。ハゲてはいないが激しく同意しよう。

 だが、仮にキミが「Github」という物が何だかわからない状態で、「Githubで小説書いている人がいるよ」というこの記事を読んだとしたら、恐らくこれっぽっちも面白さや伝わらないのではないかとも思っている。

 そこでまず「Github小説」の話をする前に、Githubがそもそも何なのかを説明することにしよう。まどろっこしいと思ったキミは「基本的にプログラマーが使うもの?」の見出しまで読み飛ばしてくれて構わないよ。

 

そもそもGithubって何?

http://www.flickr.com/photos/57794886@N00/5536359255

photo by toolmantim

 Githubがなんなのかを理解するためには、まずGitがなんなのかを説明する必要があるだろう。詳しい内容はググってみればすぐにわかるだろうから、ここでは大雑把に内容がわかるように説明していこう。「こ、この可愛い猫ちゃんがGithub?」と勘違いしているキミは「Octcat Monalisa」でググッてみると良いだろう。

nlab.itmedia.co.jp

(Monalisaちゃん可愛いよ。たこ焼きにして食べたいくらい可愛いよ)

Gitとは何なのか?

http://www.flickr.com/photos/9511824@N05/4858486575

photo by DaveFayram

 Gitという物は「分散型バージョン管理システム」だ。

 「分散? バージョン管理? なにそれ?」とはてなマークを浮かべているキミの為にもっと優しく説明すると、ある作品やソフトウェアなどの変更履歴などをすべて一括で管理するための仕組みだと思ってくれれば良いだろう。

 

  例えば、キミが自分の小説を推敲していて、推敲前の文章が見たいと感じた時、Gitでバージョン管理をしていれば、推敲前のバージョンを見ることが出来る。そして巻き戻すことも出来る。更に推敲後のバージョンに戻すことも出来る。

 

 もしも、複数人で同じ作品を作り上げているのだとしたら、誰がどこをいつ編集したのかがすべて履歴として残るようになる。そしてそれをいつでも好きな時に巻き戻したり、Aさんバージョン、Bさんバージョンなどと、それぞれ別の作品としてすすめることも出来るようになる。そして、そこからいいとこ取りして一つの作品にすることも出来るというわけだ。

 

 また、クライアントに「うーん、なんかイメージと違うんですよねーもっとここをこうした方が」と言われ、修正し提出した挙句、「やっぱり五日目にくれた奴で良いです」と言われてしまったとしても、すぐに五日前に巻き戻して提出することが出来る。

 

 次の日になって、「やっぱり三日前のやつで」と言われてもすぐに巻き戻して提出することが出来る。「やっぱり今回の仕事無しで」と言われても、すぐに時間を巻き戻して徒労をなかったコトにできれば良いが、流石にそこまでは出来ない。Gitはタイムマシンのようではあるけれど、世界線を操作することは出来ない。

 

 キミや俺の人生をGitで管理することは出来ない!! 機関の陰謀によってな!! エル・プサイ・コングルゥ!!

 

 ただし、少なくとも自分の仕事の足跡をすべて管理できるようにはなる。

 そして、GithubはこのGitのバージョン管理をオンライン上で共有できるサービスということだ。他にもBitBucketなどといったGitホスティングサービスがあるが、それに関しては以下の記事を読むと良いだろう。

www.find-job.net

 

基本的にはプログラマーが使うもの?

http://www.flickr.com/photos/19994833@N00/14541002696

photo by Bernie Goldbach

 まぁ、ここまで読んでくれたキミは「それってソフトウェアとかプログラミングにつかうものでしょ?」と思ったはずだ。少なくとも俺もそう考えていた。

 だがしかし、最近ではこのGitやGithubという物を、プログラマー以外の人が使っているという事例もあるようなのである。

readwrite.jp

 上の記事によると、旅行ログ、楽曲のアレンジ、レシピのアレンジ、オープンソースのフォント編集、ジャーナリストのためのデータ可視化、執筆とブログや法律書類などに使われているらしい。

 その中でも最も個人的に興味深い記述は、

作家JJ メレロは、彼のSF小説「Hoborg」を完全にGitHub上で「出版」している。誰もがそれを読めるし、編集を提案したりすることもできる。GitHubには「Zen Writing Mode」という編集モードもあり、(禅のマインドで)集中して書き物をすることも可能だ。

 という部分である。

 これは非常に面白いし、中々良さそうなアイディアだ。

 どうしても個人で電子書籍を出版していくとなると、推敲や校正などの部分で、紙の書籍に劣るという事がよくあるものだろう。

 また、編集者がいない中で作品を執筆していくとどうしても独りよがりになりすぎたり、構成が良くなかったりすることもよくあるものだ。

 だが、Githubには「issue(イシュー)」機能という物がある。

 元々は何かソフトウェアを作る際に「ここはもうちょっとこうした方が良いんじゃない?」みたいな提案を送る為に使うものなのだろうが、これを電子書籍に応用すれば、「ここ誤字あるよ。このクソ展開なんなの? キャラクターブレブレじゃね?」と、読者が編集者として関わっていけるようになるという訳である。

 勿論作者としても、これらのissueをすべて真に受ける必要はなく、確かにそうだなと思ったところだけ編集していけば良いだろう。出版社から本を出さない作家ならば、これはかなり役に立つのではないだろうか?

 

Gitを小説に応用するアイディア

http://www.flickr.com/photos/33607698@N07/5799841701

photo by hamachang

 先ほどの実例記事を読んでみて「お、これ面白そう」と思ったのは恐らく俺だけでは無いはずだ。このGitやGithubがプログラミングの為に作られた仕組みだということは重々承知しているが、この仕組自体は用途に縛られない、様々な事に悪用できそうな物だという事は恐らくキミも気づき始めていることだろう。

 純粋に自分の作品のバージョン管理に使うのも良いだろうし、校正、編集のissueを受け取る為に使うのもありだろう、他にも色々アイディアがありそうである。

 そんなGitを用いたアイディアについて、俺が思いついた物を紹介していこう。

作家のアシスタント制をGitで実現する

 アシスタントというよりは作家、脚本家のプロダクション化と言ったほうが正しいだろう。バージョン管理システムとしての利点を大いに活かして、立ち上がった一つのプロジェクトに対して複数人で執筆していくという事が可能になる。

 勿論、作家にかかわらず、同人サークルでゲームや冊子を作っている人なども、このGitで原稿を管理するのは面白いだろう。通常、人が書いたものをあれこれいじったりするのは「スゴク・シツレイ」なハラキリ案件になるものだろうが、Gitであれば巻き戻しも自由な上、修正された物を更に自分で修正することも可能だろう。

 面白い、これは実に面白いぞ!

 

 そんな事やる友だちいないけど

 

熱烈なファンのための作品執筆の可視化

 個人的にこれはスゴイ面白いアイディア何じゃないかと思っている。例えば、キミの好きな作家が、どのようにしてその作品を書き上げていったのかが、見れるという訳だ。これは多くのアマチュア小説家にとっても非常に勉強になることだろう。

 物語として成立させるために省かれたシーン、完成品になるまでのあいだに削ぎ落とされた要素、そして、どのようにしてその作品が生まれたのか、そうしたデータは熱烈なファンにとって特別な物になのではないかと少なくとも俺は思っている。

 やぁ、これは面白く無いかね! キミ!

 

そんな熱烈なファン俺にはいないけど!

 

大規模なシェアワールドノベルを企画する

 これは一度やってみたいと密かに考えている。Githubである前提を元に皆で大規模な物語の世界観を作り上げていく、クトゥルフ神話のような物を皆で作り上げていく。それをクローンして(世界観を複製して)自分好みに作り込んでいくのも良いだろう。面白いものが出来たり、それを元にした小説が書けたら、プルリクエストを送ってみるのもいいだろう。

 いやー面白そうじゃないですかね?

そんな事できる人望なんてないけど!!

 

小説作品の翻訳

 もしも、キミが多くのファンを抱えているのであれば、小説作品の翻訳を人海戦術で行うこともできるようになるのかもしれない。勿論キミに熱烈なファンが多くいればの話になるわけだが……。

 短い文章などであれば、

translate.gengo.com

 こんなサービスもあったりするのだが、小説一本となるとそうも行かないだろう。

 

だがしかし、ハードルは物凄く高い。

 

新しい次元の二次創作

 もしも、キミが大作家ならこれをやってみるのも面白そうだ。自分の書いた小説を元にして、新たな小説を書いてみてもいい、もしくは勝手にリメイクしてみてもいいというモノだ。キャラクター設定や世界観と自分の作品を諸々Githubで公開し、それらをフォークしてファンノベルを作れるようにするという事だ。

 これらを自由にフォークして、それぞれが新たな作品を生み出すことが出来たら、ちょっと面白そうじゃないだろうかね? キミ?

 え、なんだって?

そんなこと出来る大作家がネットにいないだって? 本当に? キミならできるんじゃないかね?

 アイディアはあれど、実現は中々難しそうである。

 

勿論まだまだ課題もある。

http://www.flickr.com/photos/87302120@N00/7095021501

photo by T Gibbison

 さて、ここまで色々とアイディアや面白さなどを紹介してきたが、勿論問題や課題もまだまだある。そんな問題とこれからの課題についても少々触れておこう。

 

なんか用語がややこしい

 恐らくこのGitやGithubを使い始めようと考えている人がまず真っ先に直面するのは、「この用語が何となくややこしい」という問題だろう。何を隠そう俺自身もこれに直面どころか衝突してしまっていたわけなのだが、それに関してはまぁ……。

Gitの用語集 | Smart

www.slideshare.net

www.backlog.jp

o2project.github.io

 頑張るしか無い!

 

 もっと技術者以外も手軽に使えるGitホスティングサービスがあれば話は早いのだろうが、ないものねだりをしていてもしかたがないだろう。

年齢制限の問題

 これはGithubに限ったことだが、どうやら13歳以上でないとクローンすることも、クソみたいな展開にissueすることも許されないらしい。

qiita.com

 あと上の記事によると、どうやらBotや人工知能もコミットすることが許されないとのことだ。仮にSiriさんが気まぐれに書き始めた「人工知能のボーイミーツガール」小説をGithubで公開しようと思っても、キミの許可なしにそれを公開することは出来ないというわけだ。

 まぁ、現時点で、人工知能が小説を書く段階には入っていないので、これに関しての問題は無いだろうが、もしも、Siriさんがキミに作品の公開をお願いしてきたら、快く引き受けてやってほしい。

(こいつ、しらばっくれてやがる)

表現に対しての規約

 先ほど貼った記事によると、どうやら

We may, but have no obligation to, remove Content and Accounts containing Content that we determine in our sole discretion are unlawful, offensive, threatening, libelous, defamatory, pornographic, obscene or otherwise objectionable or violates any party's intellectual property or these Terms of Service.

我々が我々独自の裁量で判断した, 非合法, 攻撃, 脅迫, 名誉毀損, 中傷, ポルノ, 猥褻, その他の好ましくないもの, 第三者の知的財産を侵害したもの, サービス規約に違反したもの, を含んだコンテンツ, およびアカウントを, 我々は削除してもよい. が, それは義務ではない.

GitHub の注意するべき規約 - Qiita

 この様な規約も存在するらしい。これも一つの懸念としてはある。

 しかし、Gitで管理しているものをGithub以外のホスティングサービスに移せばいいということでもあるので、致命的な問題だとは言いがたいのかもしれない。最後の「それは義務ではない」と書いてある部分に関しては「違反だろ消せよ!」と言われても、最終的には「我々が判断する」ということなのだろう。

 

実際に日本人で小説執筆に使っている人

http://www.flickr.com/photos/37181538@N05/4889471879

photo by Jain Basil Aliyas

 さて、実際にアイディア、面白さ、問題点については紹介してきたが、「では実際に使っている人がどれだけいるのか?」恐らくキミはそれが気になっていることだろう。

 そこで実際に日本人でGithubを用いて小説を後悔している人を紹介していこうと思う。まだまだ多いとはいえないが、実際に使ってみる際の参考にはなるだろう。

(勿論ここにはGitで小説を管理している人は含まれていない。あくまでも、Github上で見つかったものだけだ)

 

円城塔先生

github.com

 「EnJoeTohって誰だよ」と思った人もいるかもしれないが、あの円城塔先生である。芥川賞作家の円城塔先生がGithubで小説を書いているのである。

 それも去年から……。

 

 やったぜ! 円城先生は最先端だぜ!

 

 (地味にプルリクエストとか送られてて笑った)

吉村優さん

github.com

 この人も小説をGithubでバージョン管理しているっぽいのである。そして、何やら便利そうなソフトウェアも開発しているようだ。気になる……実に気になるぞぉ……。

 

おまけ

 あと地味に便利そうなものを開発している人も……。

 

github.com

 どうやら小説家になろうの作品を電子書籍に出来るらしい。(噂)

 

まとめ

http://www.flickr.com/photos/64854730@N00/3888081967

photo by codefluency

  さて、今回は「GitやGithubという物をプログラミングでないものに使うこと」について実例なども上げながら話してきた。

  キミがこれを読んで「便利そうなら試しに使ってみようかな」と思ったかどうかは分からないが、恐らく、便利かどうかは実際に自分がしっかりと使いこなせるようになるまではわからないだろう。

 ただ、少なくとも俺は、それによって出来るようになるであろうことに関して興味津々だ。ひょっとすると物凄く便利に面白くなるかもしれない。

 

 これからの技術という物が、作品や表現のあり方をどう変えていくのか、俺にはわからないが、想像してみるのは非常に面白い。そして空想するだけでなく、現実にあるものなら試しに自分も使ってみるというのも面白い。

 

 そう、俺は考えるのだが、キミはどうおもうかね?

 

 では、失敬。

 

 

CC-BY3.0 2015 景虎日記 天王丸景虎